「ネジバナ」が咲く場所は、最近定番の散歩コースになっている河川敷公園。雑草混じりの芝生がある、ただ平らな場所。
一部はサッカー練習場になっていて、土日の晴れた日には子供達が走り回っていることもあるけれど、普段は朝と夕方にチラホラと近くの住民が散歩をしていたりもする。同じ河川敷公園でも500メートルほど上流に行くと、伊佐須美神社がすぐ近くにあるので、遊具や花壇が整備されているけれど、ここは遊歩道以外は何もない場所。
先日、夕方の散歩をしている時に私よりも年配の女性から声をかけられた。「いつもこの辺りを散歩しているの?」「こんな何にもなくて面白くも無いところだけど、歩くのにはいいよね!」
私は「えっ⁉︎」と驚いた。何も無いけれど、嬉しくなるようなことをたくさん見つけることができる場所なのです。「毎日違う表情を見せる川の流れと護岸の植物たち」「水鳥の戯れる姿」「得体の知れない大きな魚」「川面の美しい光」「渡り鳥たちの目印になっている場所」「春の妖精のような花」「小鳥の群れ」「一面のシロツメグサ」「虹」「UFO」「散歩中のネコ」「春の桜」「天牛」「ヘビの抜け殻」ets.
「ねえ! わたし、ここにいるの!」と声をかけられたような気がして探してみると、綺麗な花が咲いていたりします。一見何も無いようでえ、たくさんの生命がひしめいている場所。同じ風景を見ているようで、見えているものはそれぞれなのですね。
6月の末頃から、その場所の一面に「ネジバナ」がたくさん咲きました。こんなにたくさんの花が咲いているのをみるのは初めてです。どうゆう訳か造成地などの荒れ地を好んで、螺旋状に咲く可憐な花。見つけると何故か嬉しくなるのです。同じ一つの株から数本の花が、右回りと左回りのそれぞれの螺旋を描いて咲いています。「命あるものは螺旋を描いて成長する」ということを思い出しました。「ネジバナ」はそのことをはっきりと見せてくれているのですね。
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