写真はニセコのお師匠さん(僧侶の方でした)のご自宅の玄関横に、可憐に咲いていたお花です。「お花の名前は?」とお聞きしたら、「ずいぶん前からいつの間にか咲き始めたので名前は知らないの。春の妖精と呼ぶ事にしたのよ」という事でした。
残念ながら会津に転居するときに、一緒にお引っ越しをすることが叶いませんでした。この写真を見ると、ニセコの雪解けの風景と春の匂いが蘇ります。
20年ほど前、何故か「北海道に住みたい!」と言い出した夫と、義父も一緒に三人で引っ越しました。コンクリートだらけの東京から自然がいっぱいの環境の中へ行き、楽しみながら生活していました。自分が興味を持った事に挑戦し、念願のワンコとの生活も始めることができました。
10年前の2011年3月11日、ウィンドチャイムが鳴り出して東北の地震を知りました。黒い津波が沿岸の全てを飲み込んでいく衝撃的なテレビの映像。それに続いての福島第一原発の事故。それまでの価値観と世界が崩れていくのを感じました。
何が起こっているのか? それまで、頭の片隅に知識としては知っていたけれど、「そんなはずはない!」と打ち消してきた「闇の勢力の存在」がチラチラと見え隠れするように思われた。私は、それまで信じてきた世界とは違う世界に生きているのかもしれない…。
軽いアトピーがある息子たちのおかげで、それまでも農薬や食品添加物には気をつけて生活していたのですが、ニセコの農業地帯に住むことで、農業や食の問題、地方の政治と経済の構造がどうなっているのかを身近な現実問題として理解することができました。
もう一度しっかりと学ぶ必要がある。そう思ったときに、様々なことを教えてくださったのがニセコのお師匠さんでした。僧侶であり霊能者でもあり、農薬と化学肥料を極力使わない農業を実践している農業者の方でもありました。
そのお師匠さんが他界されて5年になります。何故、東京からニセコに引っ越したのかなと時々思うのですが、今では彼女に出会うためだったのだと確信しています。
ニセコの雪解けも進んでいると思います。「春の妖精」は今年も5月の初め頃から咲き始めることでしょう。淡いブルーの花を見ると思い出しながら、感謝と懐かしさでいっぱいになります。そして私が昼の時代へ踏み出そうとしたきっかけでもある思い出です。
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